弁護士法人 関西はやぶさ法律事務所
〒520-0051 大津市梅林1丁目15番30号 林ビル本店2階
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任意整理・個人再生手続・破産手続について、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか、以下法人ではなく個人の方を前提にまとめてみました。
任意整理のメリットは、裁判所に申し立てて行う手続ではなく、あくまでも任意の和解交渉であるため、柔軟な整理方法が選択できる点でしょう。
例えば、銀行のローンや自動車のローンは、そのまま支払い続けて、利息の高いサラ金関係だけを整理することも可能です。また、借金ができてしまった原因がギャンブルや浪費であっても、和解内容の履行が可能である限り、特に問題とはなりません。さらには、たとえ無職であって、安定収入がなくても、親族が弁済資金を用意する、退職金を弁済資金に充てる等の事情であれば、整理は可能です。
一方デメリットとしては、基本的に、負債額を利息制限法によって再計算して、それによって算出された元本額について、分割弁済なりを交渉しますので、弁済総額は、利息制限法によって再計算された元本額以下にはならないのが原則です(一括弁済を行うということであれば、例外的に元本額を割り込んでも和解が成立する場合もありますが)。
利息制限法により再計算した元本額ですら、多額で返済が困難ということであれば、個人再生や破産を検討した方がよろしいでしょう。また、任意整理は、あくまでも債権者との話し合いで和解を成立させるものですから、債権者との話し合いがつかなければ、いつまでたっても問題が解決しないというのも難点です。
個人再生手続のメリットとしては、やはり、負債額を大きく減額できる点にあるでしょう。
例えば、サラ金や信販会社に対する負債額が、利息制限法による再計算をしても500万円程度ある人でも、個人再生手続をとれば、100万円程度にまで負債額が減額される可能性があります。個人再生手続においては、原則として再生債権の2割か100万円のどちらか多い額を支払えばよいということになっているからです。
このように減額された負債を、3年間ないし5年間で支払えばよいわけですから、任意整理が無理でも、個人再生手続をとれば、支払いが可能になる場合が多いでしょう。
また、借金ができてしまった原因がギャンブルや浪費であっても、弁済計画の履行が可能である限り、特に問題とはなりません。
また、住宅ローン特別条項というものを利用すれば、住宅ローンだけはそのまま支払い続けて自宅不動産を保持しつつ、その他の負債を上記のように大幅カットできるのも大きなメリットです。
さらには、自営業者の方が、廃業することなく営業を継続しながら、負債額を大幅にカットできることもメリットです。
一方デメリットとしては、安定収入があることが個人再生申立の前提となりますから、現在無職で、これから就職先をさがすというような人が利用することは出来ません。
また、すべての負債を対象にしなければなりませんから、例えば勤務先から借り入れがあるという場合、勤務先も債権者に挙げなければならず、当然個人再生手続を行っていることが、勤務先に知れてしまうことになります。
また、例えば、自動車のローンは従来通り支払い続けたいと思っても、仕事で必要等の特別な事情がない限り、特別扱いすることが出来ませんので、自動車は通常ローン会社に引き揚げられてしまうということになります。
基本的に、特別扱いが認められているのは、住宅ローンだけなのです。
破産手続のメリットは、何といっても、負債が基本的に全額免除されるという点にあるでしょう。任意整理や個人再生手続のように、その後の弁済のことを考えなくてよくなるわけですから、これ以上のメリットはないと言えます。
しかし、誰でも破産を申し立てれば、負債が免除されるわけではなく、負債が増大した原因・経緯が詳しく検討されることになり、ギャンブルやブランド物の購入等浪費が原因であったり一定の不誠実な事情がある場合は、免責が不許可になる、すなわち負債は1円も免除されない場合がありますので、これがデメリットといえばデメリットでしょうか。
また、一度破産手続をとり免責決定をもらうと、破産法上その後7年間は再度の免責決定がもらえませんし、たとえ7年以上経過していても、2度目の破産申立ということになると、実際問題再度の免責決定は得にくいと思われます。基本的には、破産手続は、人生最後の切り札と考えた方が良さそうですので、これもデメリットでしょう。
また、破産手続は、ほとんどすべての財産を換価して、それを債権者らに配当する手続ですから、一定額以上の財産を有している場合、裁判所から破産管財人が選任され、その破産管財人にほとんどの財産を引き渡さなければならないことになりますので、手元に残すことが出来る財産は限られたものになるでしょう。
さらに、自営業者の人が、自営を続けながら破産手続をとりたいと思っても、裁判所からは、なかなか認めてもらえません。自営業を営んでいる場合には、何らかの営業資産があるはずで、これも換価の対象だとの認識に基づくものかと思われます。また自営業を継続しながら、負債だけを免除してもらうということでは、債権者らの納得が得られないという考慮がされているのかも知れません。
したがって、たとえさしたる営業資産が見あたらなくても、自営業者の人が破産する場合は、いったん廃業することを覚悟していただく必要があります。サラリーマンの人が破産する場合には会社を辞めなくてもよいのと比較すると、自営業者の人にとっては、かなりのデメリットになるでしょう。
以上が任意整理・個人再生手続・破産手続の主なメリット・デメリットです。これらのメリット・デメリットと負債を抱える人の事情・状況を総合的に判断して、どの方法が適切かを選択することになります。
例えば、ご自分だけの判断で任意整理がよいと考えても、弁護士の目から見ると明らかに個人再生手続が適切だと判断できる場合もありますので、必ず弁護士の法律相談を受けるようにしてください。
なお、金融機関の信用情報、いわゆるブラックリストに掲載され、将来的に借り入れが困難になるという点については、任意整理・個人再生手続・破産手続のいずれを選択しても、ブラックリスト入りを覚悟していただく必要があります。
いわゆるブラックリストとは、金融機関のいわば自衛策であり、法的制裁ではありません。金融機関との当初の契約通りに支払いをしない限り、何もしなくてもブラックリストには掲載されるわけですから、これはあきらめていただくしかないと思われます。むしろ借り入れをしないで生活する工夫をしていただくことが重要と思われます。
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